満月の夜にルイをストーキングしていると、彼が輝くものを前に茫然と立ち尽くしているのに気がついた。よくよく眺めてみればどうやら大きな水たまりらしい。水たまりに月や星が写りこんであるのだ。
ルイは時折水たまりに爪先を触れ、波紋が広がるのを興味深そうに見ている。まるで幼児のような熱心さだ。やわらかく揺らぐ水面の景色にすっかり夢中らしい。ルイらしい執心に何となく微笑ましさを感じた。
数時間経った。ルイはまだ熱心さを失わない。
夜明けが近い。ルイはまだ食事をしていないのに全く動こうとしない。時間ギリギリに慌てて帰ってくることだろう。ため息をついて彼の非常食(ネズミ)を取っておく事にした。今夜こそ柩に入る前にたっぷり説教してやらなくては。
おしまい。
意味の無い小話。二人の日常はこんな感じではないかと。飽くことなく水たまりを観察するルイ。ランプの光りで出来る影に夢中になって一晩明かしたそうですからこんな事もあっただろうなと。鈍臭いルイ推奨。
【関連する記事】