2005年06月05日

久しぶりな話題。

昨日の宣言通り今日はちょいとセクシャリティの話など。長いので興味が無い人は飛ばすが吉。

 私のセクシャリティについてはもう今更説明するまでも無い、と思っていたんですが、そういえば此処数ヶ月でちょっとお知り合いが増えたから今更と言うのもどうだろうなって感じなのだと気が付きました。
 そんなわけで今日は久しぶりにセクシャリティについて語ってみようじゃないの、と。そう思ったのには勿論きっかけが有って、要するに関係最短記録(一週間)を塗り替えるか否かと言う人物が現れたのですが。(本気でどうでも良いが因みに最長記録はえーと多分六ヶ月)
 しかしながらその辺のリアルに具体的な個人の生活は面白い話題じゃないのでさっさと抽象的且つ個人と言うよりも集団相手の話題に切り替えます。

 Aセクシャルという括りのセクシャリティが存在する、と言うのはあまり世に知られていないことです。セクシャリティについて日本よりもオープンであるという噂の欧米各国でもあまり知られていないです。
 従って日本でごく普通の相手に向かって其れを説明するのは中々大変です。先ず「セクシャリティとかって言葉解る?」から始めないといけないのですから。
 いや、今回は愚痴じゃなくて。
 セクシャリティと言うのは要するに「性的指向が何処に向かっているか」「性自認」などの事を指す幅広い言葉(だと思うんだけど辞書は引いていないのでとりあえず信用しないでこの記事の定義と言う事にしといておくれ)ですが、これについてじっくり考えたり悩んだりするのは異性愛者の方にとって珍しいことなんでしょうか。
 今までこの手の話をした人で、「其れってどういうこと?」と言わなかった人は少ない。要するに、ちょっと「セクシャリティ」「性自認」「ジェンダー」「性的指向」という単語を出すと意味を教えろと言われるのです。
 セクシャリティについて考えて、少し調べれば直ぐに知ることの出来る単語達ですからそういう所から「普通は調べないものなのかな」と推察したに過ぎないのですが。
 そしてそうだとすれば、セクシャリティというものは通常の場合ならば意識のしようも無い当たり前の認識と言う事になるのでしょう。
 其処からずれると言うことがだから、理解し難くなる。この十年ほどで同性愛者については随分其の存在への認識が広まったと思われますが、それでも理解をえられているかと言えばNOなのでは。差別も当然あるでしょうし。
 そういう社会や其れに属する人たちに、同性愛よりも理解しがたい(とよく言われる)Aセクシャルについて説明するのは骨の折れる仕事です。最終的に「いやもう、何と思ってくれても良いよ」と投げ出すことも有ります。
 でも、本当は知って欲しい。どういうことが厭で何が平気なのか、そういう事を異性愛者の人たちにも理解してもらえたら嬉しいな、と思います。そして其のお返しに私も異性愛者の気持ちを理解したいと思うのです。
 そういう気持ちでこの記事を書く。ああ、前置きばかり長い長い。

 Aセクの説明の前に他のセクシャリティの事も書いたほうが解りやすい(ようなきがする)ので基本から始めます。
 まず、自分と性別が違う人を好きになる人が居ます。この人たちを異性愛者(ヘテロ)と呼び、現在このグループの人たちが一番多いとされています。(っていうかそうじゃなかったら種の存続が危ないと思う)
 そして自分と同じ性別の人を好きになる人達が居ます。この人たちは同性愛者(ゲイ、レズビアン等)と呼ばれ、社会的には少数派と言う事になっています。カミングアウトしないで社会的にはヘテロと偽って暮らしている人も居るようです。
 それから、同性異性関係なく好きになった人が好きな人、と言う人も居ます。両性愛者というのかな、これはバイセクシャルと言う言葉の方が通りが良いでしょう。この人達も、特に同性を好きになった場合を除いて異性愛者としておく人が居るようです。
 普通の人の認識では恐らくこの3つのグループで全部だということになっているかもしれません。しかし四つ目が存在するのです。
 それがAセクシャル。
 英和辞典によると「性別の無い」「無性の」「性とは無関係の」という意味らしいですがセクシャリティを語るときは「男女どちらにも性愛を持たない人、又は性的欲求が極めて低い(無い)人」という意味で使用されます。
 これが学術的に認められた呼称なのかそれとも俗称なのかは不明ですが。性愛と言うのは私的に「恋愛感情」と置き換えても良いかと思います。
 ヘテロでもゲイでもバイでもない、四つ目の性としてAセクがある、と、私はそういう認識です。しかしながらこのAセクに関しては賛否両論ありまして、ビアンだけど性欲が無いという意味で「同性愛者であり同時にAセクである」という自認を持つ事もあるそうな。
 他のセクシャリティについて言えば「ヘテロで同時にゲイ」なんて有り得ませんから(其の状態を表現するならばバイになってしまう)そういう意味でAセクは存在感が薄い、気がします。
 私の場合は「恋愛をしない」Aセクでありますので、正直今の状態は居心地が悪いのです。ヘテロであれゲイであれバイであれ、彼らには自分の性的指向を表現する為の言葉がきちんと用意されている。
 でも、私は(他の人はどうか知らん)違う。「ヘテロで、性欲的にはAセク」なんて表現をされたら、「私はAセクです」と言った時に説明できるのは性欲の有る無しだけじゃないですか。
 勿論別にそんな風に考えない人の方が多いと思います。ただ、他の指向まで内包してしまうような曖昧な定義しか自分には与えられていないのだなぁと、思うと。ちょっと頼りないのですね。
 Aセクという言葉を他の嗜好を持つ人に使って欲しくない、と言う意味ではありません。ただ、それならそれで私にも他のセクシャリティの人達と同じような、揺らがない名前を与えて欲しいと思うのです。
 別に其れが無いと困るわけじゃないですし、不安になるとか、性指向を保てないとかじゃ有りません。でも名前が与えられないというのはかなりの確立で「認められていない」ということです。
 誰かや社会に認められなくても自分は自分である、と言えるほど私は強く無い。結婚しない理由や、恋人を作らない理由、クリスマスを一人で過ごす理由をどうやって説明すれば良いのか大変面倒です。
 恋が出来ない人間なんですとカミングアウトした時の「其れは普通じゃないことだ」という人の態度にもうんざりです。
 社会に認められないと言うことは、そういう色んな不利益に立ち向かっていくと言うことです。だから私は認知して欲しいし、理解して欲しい。其の為にもせめて、揺らがない名前くらいくれ、そう思うのです。
 話題がそれました。
 まあだからつまり、「性欲が極端に薄い、または恋愛感情が無い、或いは其の両方」というのがAセクシャルです。
 性欲の有り方についてもそうですが、恋愛感情のある無しと言うのは非常に抽象的な話題でありまして。説明が難しい。だから、納得してもらうのも難しい。というのも、「恋をしない人間なんて居る筈が無い」と固く信じている人が居るからなのですが。
 そういう人たちは得てして同性愛には寛大だったりします。と言うか、異性しか愛せない人が居るならば同性しか愛せない人が居てもおかしくないだろうと思うようです。しかしながら誰も愛さないという選択肢は無い。此処で言う愛とは勿論性愛恋愛のことであって友愛とか親愛の事ではありません。
 これも混乱の原因だろうか。人が嫌いなわけじゃあないのです。ゲイやビアンの中には異性というだけでもう駄目、と言う方も居るようですが、別にだからってAセクが人間を嫌いなわけじゃありません。嫌いだから恋が出来ないわけでは無い。(つうか人間全部が嫌い過ぎてまともな対人関係が築けないような場合はAセクがどうのとかじゃなくて普通に問題なので治療が必要だと思う。そういうのはセクシャリティじゃなくて精神疾患と呼ぶべきではないのか)
 友達は作れます。でも、恋人は無理。形式的に恋人ごっこは出来ても自分の中で恋心を抱けない以上、其れは恋人とは呼びにくい。
 勿論付き合う最初の段階で色々取り決めて、恋が出来なくても構わないから彼氏彼女の関係になろう、という事もあります。でもそういうのを別にすれば恋人同士は一般に好きあっているものであって、そしてそういう意味でAセクは恋人を作れない(恋愛感情のあるAセクはこの場合除外する)
 ゲイやビアンが異性を好きになれないように、また、ヘテロが同性を好きになれないように、Aセクは誰も好きになれない。言葉にすると簡単なことなのに其れを本当の意味で理解してもらうのが何故こんなにも大変なのか。
 懇切丁寧に説明して、相手の答えが「心療内科(解りやすく言えば精神科ですな)に行こう」だった時は「診察が必要なのは手前の耳か、頭の方じゃねぇの?」と思ったものです。
 勿論お約束のように「心を閉ざしてるんだね」とか言われたこともあるよっ!一般的な説明を他人事で聞いたときには理解したつもりでも、いざ自分の知り合いがそういう事を話すと妙な反応をする人がいるものです。
 多くの場合Aセクが望んでいる事は、「そっとしておいて欲しい」ということで、簡単な筈なんですけどね。
 個人差がありますが、他人の恋愛の話を聞くのは別に苦痛じゃありませんし、私の場合はキワいシモネタも平気です(苦手な人も居ます)。ただ、バレンタインやクリスマスなどの恋人イベントの時に「恋人は?」「何で一人なの?」「どうして恋しないの?」「恋愛って楽しいんだよ!」と主張しまくらないでくれればそれで十分なのです。
 そして誰も好きになれない、其れが私にとって自然なことで、独りで居る事は私にとって幸福な事なのだと説明した傍から「でもね、恋は楽しいし恋人が出来ると毎日本当に二人で居ることが幸せだし絶対貴方も恋をするべきよ!」という説得を開始しないで欲しい。
 説得の方法がなりふり構わないほど(病院に行こうは今の所ダントツだよ)自分を否定されたような気持ちになりますから。貴方は異常なんだ、と。ネガティブ過ぎるかもしれないけど。

 随分長くなったな……。興味の無い人は読み飛ばしてくれるだろうから良いや、って気持ちで書いたんですが。
posted by こがよしひさ at 20:43| Comment(2) | TrackBack(0) | セクシャリティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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